[読書感想/ネタバレ]友だち幻想 – 菅野仁

読書

こんにちは! mnbd(@mnbbbbbd)です。

菅野仁さんの「友だち幻想」の要約が知りたいんだけど…

他の人はどんな感想を持ってるんだろう?

管理人
管理人

実際に読んでみましたので、その簡易的要約と読書感想をご紹介いたします。

本記事には、以下のことが書かれています。

  • 菅野仁著「友だち幻想」の読書感想と簡易的要約

どのようなことが書かれているか

人との関わりに悩みはつきもの。99%の悩みは人間関係とも言われています。

本書では、身近な人たちの関係を見つめ直して、人と人とのつながりを根本から考えた一冊になっています。

著者は、社会学者の菅野仁氏。

社会学の手法や考え方を使いながら、考察されています。

以下に、簡易的な要約と感想を書いています。

簡易的要約は、全面的に内容をカバーしているものではありません。

部分的なエッセンスを抜き出して、私がまとめているものなので、正確な要約をお知りになりたい方は、ご注意ください。

友だち幻想 人と人の<つながり>を考える

  • 著者
    • 菅野仁
  • 出版社名
    • ちくまプリマー新書
  • 新書番号
    • 079
  • 初版
    • 2008年3月10日
  • サイズ
    • 新書(10.7cm x 17cm)
    • 156ページ(1.1cm)

構成(目次)

  • はじめに-「友だち重視指向」の日本の高校生
  • 第1章 人は一人では生きられない?
  • 第2章 幸せも苦しみも他者がもたらす
  • 第3章 共同生の幻想-なぜ「友だち」のことで悩みは尽きないのか
  • 第4章 「ルール関係」と「フィーリング共有関係」
  • 第5章 熱心さゆえの教育幻想
  • 第6章 家族との関係と、大人になること
  • 第7章 「傷つきやすい私」と友だち幻想
  • 第8章 言葉によって自分を作り変える
  • おわりに-「友だち幻想」を超えて

登場するキーワード

スケープゴート

スケープゴートの意味は、別記事がありますので、そちらをご覧ください。

その他

  • 同調圧力
  • ネオ共同体
  • ルール関係
  • フィーリング共有関係
  • 絶対受容
  • コミュニケーション阻害語

簡易的要約

第1章 人は一人では生きられない?

人は一人では生きられないとよく言いますが、お金さえあれば生きられるのが現代社会。

しかしそれだけでは生の喜びは感じにくい。

誰かと親しくなりたいと思うもの。ただ、多様化する現代社会の中で、かつての伝統的共同体の親しさは難しい。

人と人との距離感を見つめ直したり、気の合わない人たちとも共存する必要がある、と著者は言います。

第2章 幸せと苦しみも他者がもたらす

他者とは自分以外の人のこと。

親子であろうが他者です。

他者はそれぞれ感じ方や考え方などが違う異質な存在です。

そうした他者は、「脅威」と「生のあじわい」との2つの側面を持っています。

関わることで傷つけられたりするのが脅威で、生きていて楽しいと思えるのが生のあじわい。

人はこの二重性に苦しめられています。

第3章 共同性の幻想

他者との交流は、幸せをもたらすものですが、仲間意識が強すぎると同調圧力のように不安や苦しみを生みます。

みんな一緒に同じ距離感で交流する共同性は幻想に過ぎない。

あえて距離を置くことで対処するべきなのです。

第4章 「ルール関係」と「フィーリング共有関係」

人間関係を考える時に「ルール関係」と「フィーリング共有関係」に分けます。

「ルール関係」とは他者が共存する時にルールを基本にする関係のこと。

「フィーリング共有関係」は、みんな一緒の感覚でやっていく関係のこと。

このどちらかが欠けても集団や人間関係はうまくいきません。

「フィーリング共有関係」だけではいじめはなくならない。

なぜならルールがないからです。

自由のためにこそルールが必要なのです。

第5章 熱心さゆえの教育幻想

先生の熱心さは、有害になることがあります。

生徒にいい記憶がないことの方が多い。

むしろ、先生と生徒はわかりあえないものと割り切る覚悟が必要です。

大事なのは、自分の教室が最低限のルールを守ること。

そして個性を育てるのではなく、普通の社会人になるための基礎力を育てることです。

第6章 家族との関係と大人になること

親子関係というのは、他者性を持ちにくいですが、他者としての意識が強くなると反抗期がやってきます。

自立心の芽生えですが、中身はまだ子どもなため、親への甘えなどもあるもの。

子どもの成熟度を見極めつつ、適切な支えが求められます。

大人になるとはどういうことかと言えば、「精神的自立」と「経済的自立」です。

経済的自立はわかりやすい。

精神的自立は、「自分の欲求のコントロール」「自分の行いに対する責任の意識」をさします。

この2つを兼ね備えた人間が大人ということです。

大人になる上で必要なことに「気の合わない人との並存」と「自分の限界」があります。

「自分の限界」とは、どれだけ努力してもできないこともあることを知ることです。

もしできたとして、世の中には上には上がいることを知ることです。

こうした「苦味」を知ることで、「うま味」を知ることもできるのです。

第7章 「傷つきやすい私」と友だち幻想

若者は、親密な関係の作り方が苦手です。

ものすごくフレンドリーに接してきたことを注意すれば、全く接してこなくなってしまう。

とても傷つきやすい存在です。

若者は自分を丸ごと受け入れてくれる他者を求めがちですが、そういう他者は存在しません。

しかし、人とつながりたいという矛盾があります。

大事なことは、「信頼できる他者」を見つけること。

それは、丸ごと受け入れてくれる他者とは違います。

これは恋愛でも同じことです。

第8章 言葉によって自分を作り変える

コミュニケーションをする上で、受け応えができることは重要です。

こうした受け答えを阻害する言葉をコミュニケーション阻害語と呼びます。

相手の言葉に対して「ウザい」「ムカつく」という言葉で片づけてしまうと、相手に対しての返答がありません。

自分にとって異質なものを即座に遮断してしまう。

「ていうか」という言葉は、話を何の脈略なく変えます。

こうした言葉もコミュニケーションが深まりません。

「チョー」「カワイイ」という言葉は、物事を細かく捉えることができません。

「ヤバイ」という言葉は、文脈で良い意味にも悪い意味にもなる、物事を細かく捉えにくい言葉です。

こうした言葉の乱用は、情緒の深度が深まらず、「生のあじわい」を感じられなくなります。

まずは、こういう阻害語を使わない。

そして、読書で対話能力を鍛えることです。

楽をして得られる楽しさはタカが知れています。

むしろ、苦しみにより得られた楽しさのほうが大きいことが多いのです。

読書感想

若者向けとありますが、人と人とのつながりに悩む人なら誰にでも当てはまるないようになっています。

社会学的視点から解説されているものの、難解な用語があるわけではないので、とてもわかりやすいです。

特に「言葉によって自分を作り変える」の章では、具体的にコミュニケーション阻害語を使わないことに成果があると述べられていて、自分もこうした言葉を使わないようにしていこうと思いました。

こうした言葉は、単純に言葉そのものというよりも、読書不足による語彙不足なのではないかと思います。

読書をしたり、日記を書いたりしていれば、自然と語彙も増えるでしょうし、物事の捉え方も変わり、出てくる言葉も変わるのではないかと思います。

最後にあった「苦しみにより得られる楽しさの方が大きいこともある」というのは、まさにその通りだなと思います。

人間関係においても「苦しみ」の先にある楽しさを感じられるといいのですが。

人間関係の悩みは、それぞれ個人と個人の具体的なものです。

その対処法に一つの答えがあるわけではありません。

本書も例外ではなく、答えを与えてくれませんが、悩んでいる方に新たな視点を与えてくれて、少し距離を置いて考えることで、対処するための見通しを良くしてくれると思います。

まとめ

菅野仁さんの「友だち幻想」の要約と読書感想でした。

38万部売れているロングセラーになっています。

amazonのちくまプリマー新書でも1位です。(2021/01/25現在)

以上です。
読んでいただきありがとうございました!

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